不吉なことと厄払い

まだカンボジアに住んで間もない頃、
勤めていた会社で悪いことが多発したときがある。

・複数のスタッフが立て続けに病気や怪我に見舞われ、バンコクに搬送された
・いきなり天上が落ちてきた(けが人はなし)
・プラグを差し込もうとしたら火が出て火事になりかけた

など・・・

従業員はみんな不吉がり、どうしたことかとざわついていたのだが
そこで浮上した「原因」が

「隣のホテルが水路を埋めたからだ」

なんでも、会社の脇には昔から流れる小さな水路があり
そのホテルは工事でそれを埋めてしまったらしい。
それからなんと、オーナーは急な大病に見舞われて危険な状態だとか・・・

どこまで嘘か本当かはしらないが、
現地のスタッフはみんな「そうだそうだ」「水路を埋めたからだ」とうなづき
お祓いをしなければ!お坊さんを呼ばなければ!と、あれよあれよという間に
お坊さんを手配(?)し、お祓いをしてもらうことになった。

カンボジアではお坊さんによる「お祓い」「祈祷」は、かなり一般的なことで
厄払いのほか、新年とか、家の新築、事務所移転とか、あらゆる節目で行われている。
数名のお坊さんのほか、アチャーと呼ばれる司祭が来て
お経を読んだり「聖なる水」でお清めをしたりする。時間にして30分くらいだろうか。

お祓いの日、会社のデスクを少し寄せて、ゴザを敷いてお坊さんたちの座るスペースを作った。
お坊さんがお経を読み、社長を中心とした会社のスタッフたちは、手を合わせて横座りして祈る。
お祓いにはわたしたち日本人も含む、ほぼ全員のスタッフが参加した。

不思議なことに、その日から不吉なことがパタリとなくなった。

水路を埋めたから悪いことが起こったのか、そして厄払いしたからそれが収まったのか
それは、誰にもわからない。
カンボジアでは「目に見えないもの」に対する脅威や信心がとても強く
それはもう、生活のすべてに取り込まれているかのようだ。
誰かが「水路を埋めたから不吉なことが起こっている」と言っても
「いやいや、そんなことないでしょう」と抑える人がいてもおかしくないのに
そうならなかったことが、なんともカンボジアらしいなあと、思い出すのだ。

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by toi-tom | 2018-04-03 13:10 | カンボジア | Comments(0)